ソーシャルセリングの第一人者・ウィルゲート吉岡氏が語る、営業×SNS活用の極意

ソーシャルセリングの第一人者・ウィルゲート吉岡氏が語る、営業×SNS活用の極意
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コロナによって軒並みオフライン施策が打てなくなった今、営業・マーケティング活動のオンライン化は必須となっています。そこで注目されている新たな営業手法が「ソーシャルセリング」です。

ソーシャルセリングとは、英語表記だと「social selling」であり、SNSを活用して見込み顧客の関係値を深めてリード獲得、販売していく営業活動を意味します。 BtoBの活用としてはFacebook,Twitter,LinkedInを活用して行われることが多いです。

今回は事業としてソーシャルセリングを積極的に導入し、年間3億円の新規受注をしている株式会社ウィルゲートCOOの吉岡諒様に、SNSを活用した営業戦略について伺いました。具体的な投稿内容から注意点まで語っていただいたので、ぜひご参考ください。

株式会社ウィルゲート専務取締役COO 共同創業者 吉岡 諒
1986年岡山生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代表取締役小島と共に2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で2,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。2012年に記事作成「サグーワークス」、2014年にメディア「暮らしニスタ」、2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」、2020年にはM&A仲介支援サービス「Willgate M&A」をリリース。COOとして全サービスの管掌役員を務める。

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セミナー動画がSNS経由で641名が購入。ソーシャルセリングに魅せられたきっかけとは

——ソーシャルセリングを始めたきっかけについて教えてください。

吉岡:きっかけはリスティング広告の効率が悪くなってきたからです。リスティングは入札なので、私達が新しい市場を開拓した直後は費用対効果もいいのですが、市場が成熟して競合が増えると徐々にCPAも高くなっていきます。そんな時にSNSでの投稿に大きな反響があったので、本格的に活用してみようと思ったのです。

——どのような投稿だったのでしょうか。

吉岡:それは、弊社がこれまで培ってきたSEOのノウハウを100分に詰め込んだ動画を販売するものでした。「5,000円で欲しい人はコメント欄から連絡ください」と投稿したところ、実に279名の方からコメントがありました。同じ投稿を3~4回行ったところ、最終的に641人もの方が購入してくださり、そのうち8%の方が仕事の問い合わせに繋がったのです。動画購入から粗利で5,000万円以上の新規受注に繋がりました。

動画を見てもらうのは、ノウハウを伝えると同時に営業しているのと同じなので、動画で640回商談したようなものです。もちろん、直接私が営業したほうが受注率は良いでしょうが、お金をいただきながら営業し、受注にも繋がるのですから圧倒的に効率的です。その出来事がきっかけとなり、ソーシャルセリングを積極的に行っていこうとなりました。

——すごい成果ですね。

吉岡:それだけの成果を出すために、いくつか秘訣があります。例えば「SNSの投稿でURLを貼らないこと」もそうです。よくURLを貼って、セミナーのお申し込みやお問い合わせのフォーム画面に誘導する投稿を見かけますが、SNSでリンクをクリックする人は5%以下。そこからフォーム入力までする人はごくわずかでしょう。私の場合、投稿に「興味あります」とコメントしてもらうだけなので、5秒で完了します。

また、予想外に上場企業の社長が10名も動画を買ってくれました。経営者は忙しいのでセミナーにはなかなか参加してもらえませんが、仕事の合間で学べる動画ならニーズがあるんですね。名だたる会社の経営者に買ってもらえたのは嬉しかったです。

セミナー集客、市場調査。無限に広がるソーシャルセリングの可能性

——ソーシャルセリングの可能性に気づいた後は、どのように活用していったのですか。

吉岡:他にもセミナーの集客や、新規事業の市場調査に使うこともあります。例えばセミナーを企画したものの、集客がうまくいかないのはあるあるだと思います。私の場合はSNSで先に集客してからセミナーを作り始めるので、集客に失敗することはありません。「〇〇のセミナーに興味ある人いますか?」と投稿し、反響があって初めて作り出す受注生産方式です。実際にあった例として、SNSで投稿して参加希望者を100名以上集めた後の9ヶ月後にセミナーを開催したこともあります。

——クラウドファウンディングのようですね。新規事業の市場調査についても教えて下さい。

吉岡:先に事例をお話すると、新しく始めるBtoB向けサービスを「アンケート」と称して、SNSで見込み顧客を集めたことがあります。「●●のようなサービスに興味はありますか?」と投稿した所、結果的に43名の経営者の見込み顧客が集まり、6社が受注まで繋がりました。月額30万円のサービスだったので、それだけで毎月180万円のストック売上です。

ここで肝になるのが、「経営者限定」と入れて投稿したことです。営業には「BANT情報」というものがありますよね。営業をするには「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Needs(ニーズ)」「Timeframe(導入時期)」の4つの要素が必要ということです。投稿にコメントをくれた時点で、決裁権とニーズは満たしたことになります。その後コメントをくれた43名の方にメッセージで料金を伝えたところ、9名の方からアポが取れ、そのうち6名から受注しました。BANT情報が揃った状態で営業できたので、66%という高い受注率を実現できたのです。

15年以上に渡る営業活動が可能にする吉岡流ソーシャルセリング

——SNSだけでそれだけの成果を挙げているのが未だ信じがたいのですが、なぜそのようなことが可能なのか教えて下さい。

吉岡:私は学生時代に起業して、これまで15年間営業を続けてきました。その間、年間で1,000人以上、累計で16,000人以上の方と名刺交換をしています。そのうちオーナー経営者が2,000人、会社役員が3,000人、つまり5,000人もの経営者と名刺交換しているのです。

さらにその半数以上にあたる、8,500名の方とFacebookで繋がっています。多くの人が名刺交換した方の2~3割としか繋がっていませんが、私の場合は名刺交換をしたらほとんど友達申請して繋がるようにしているのです。Facebookに限らず、ツイッターには17,000人ものフォロワーがいます。それだけのネットワークがあれば、誰でも先に紹介したようなことを行えば成果を挙げられるのではないでしょうか。

——たしかに、5,000人の経営者との繋がりがあれば、それだけでもビジネスが成立しそうですね。

吉岡:現に私はその繋がりを活かしてITとweb特化のM&A仲介の新規事業を立ち上げました。1年半で16件もの案件を成立させてきました。今では私のもとに、売りたいという会社が300社以上、買いたいという企業が800社以上集まっています。これまでの売却額の合計は20億円ですが、仲介手数料で1億円は優に超えています。現在は、現在は6名体制の規模にまで成長して来ております。

「出会ってから4年後に受注」SNSならではの営業方法とは

——SNSが強力な営業ツールであることは分かってきましたが、SNSならではのメリットはどこにあると感じていますか。

吉岡:私がソーシャルセリングを勧める時のキャッチフレーズが「すれちがった4年後に受注」というものです。SNSで繋がったからといって、その相手とすぐにビジネス的な繋がりが生まれるとは限りません。しかし、SNSで繋がっておけば、数年後に突然ビジネスチャンスが生まれることもあるのです。

私の事例をお話すると、あるイベントで出会った社長から2年後に突然仕事の問い合わせがきたことがあります。その時言われたのが「Facebookで吉岡さんの近況を拝見していたので、ご無沙汰にも関わらず気軽な感じでお仕事の相談をしてしまいました」という言葉です。私の投稿を見てくれていたので、2年前にたった一度しか会ったことがないのに、何度も会っているような錯覚をしていたんですね。営業にはタイミングが重要ですが、ニーズが生まれた時にすぐに思い出してもらえるためにも、SNSは重要な役割を果たしてくれます。

——直接会わなくても、SNSの投稿を見て会っている感覚になっていたんですね。

吉岡:今では月に10件は同じようなメッセージが届きます。通常、仲のいい人からの紹介や仕事の相談が多いのが一般的だと思いますが、私の場合は全体の4割数年ぶりの方からのご相談です。SNSを使ってファンづくりをしていれば、必要なタイミングで相手のほうから仕事のご相談がくるものですね。

SNSではありませんが、ファンづくりと言えば自分たちの創業ストーリーを記した本を配ることを大切にしています。ポイントは売らずに無料で配ること。8,000冊ほど配ったので、書籍の購入費用として1,000万円近い費用がかかりましたが、本を読んだ方が問い合わせをくれたり、自分で買って周りに配る方もいて、かけた費用の10倍以上の効果がありました。私の感覚値ですが、本を読んでいただけると会食2回分、もしくはゴルフに1回行くのと同じくらい心の距離を近づける効果があると思っています。

これでビジネスが加速する「SNS活用ノウハウ」

——具体的にSNSにどのような投稿をすればいいのか教えて下さい。

吉岡:まずはSNSを通して、自分がどのように認知されたいのか考えることが重要です。例えば私の場合は、次の6つのようなイメージを持ってもらうように心がけています

①SEOの専門家
②ソーシャルセリングの専門家
③M&Aの専門家
④代表を想うCOO
⑤一生懸命
⑥鈴木亜美のファン

例えば私はSEOの専門家として見られるためにFacebookで「SEO速報」と題して、SEOのトレンド情報を配信していました。しかし、ウィルゲートがSEOだけの会社だと思われないためにも、SNSの活用術(ソーシャルセリング)やM&Aなど、最近やっている事業についても投稿しています。

——新しいサービスを認知してもらうために気をつけることはありますか。

吉岡:例えば「エディトル」という編集サービスを新しくリリースしたときは、サービスの解説動画を作ってSNSに投稿し、2,000回再生されました。この時重要なのが、動画はSNSに直アップロードすることです。よくYou TubeのURLをSNSに貼り付けているのを見ますが、全くおすすめできません。先程も行ったようにSNSのリンクのクリック率は5%以下です。

SNSに直接アップロードすれば、スクロールしただけで動画が自動的に流れます。そのおかげで友達8,500人に対し、動画が2,000回も再生されたのです。

また、サービスを認知してもらっただけでは仕事にならないので、仕事の問い合わせに繋げるための投稿も定期的に行いましょう。ただし、明らかに営業目的だと分かると反応が減るので、【アンケート】などソフトな表現にするのがおすすめです。

プライベートの話題で関係を縮める吉岡流メール術

——FacebookとTwitterの話を伺ってきましたが、他にも活用しているSNSがあれば教えて下さい。

吉岡:私はメールも今までお会いしてきた方々と関係値を深めるツール、ある種のSNSだと思っているので、メールの活用法についてもお話しますね。私はこれまで16,000人以上の方々と名刺交換をしてきましたが、それらを全て次のような独自ルールで仕分けをしています。

【挨拶のみ・未商談・商談中・失注・既存顧客・送信NG】

【送信NG】というのは競合会社や親戚の方などメールを送るのを控えた良い相手になります。【挨拶のみ】は例えば上場企業の社長にSEOセミナーのご案内を多頻度で送るわけにいかないので、新年の挨拶などのみをお送りする分類になります。上の分類に加えて、全ての名刺を業種、社員数、役職などで抽出できるようにしています。

例えばメールでセミナーのご案内をすることもあると思いますが、その時に大事なのが保有名刺に一斉送信をしないということです。ちゃんと名刺を分類し、それぞれのステータスや顧客ニーズに合わせたメールを送ることが肝心ですね。

——メールの内容で気をつけることはありますか。

吉岡:例えばメールで新年の挨拶をする時に大事なのが、会社名ではなく自分の名前で出すことです。会社名での挨拶は事務的に送られたような気がしますよね。そして、新年挨拶のメールの内容には、仕事のことだけでなく、プライベートのことも入れましょう。「年末年始は妻の実家の札幌にいました」と入れるだけで、「私も年末年始は北海道で過ごしました」と返信がきて話が広がることもあります。

私の場合は、毎年謹賀新年の挨拶をするだけで、100通以上の返信がありますし、新年の挨拶メール経由で累計4億円の売上に繋がっています。どんなツールでも、工夫の仕方ひとつで自分たちの存在を知ってもらう方法があるはずです。SNSに限らず、メールも賢く利用してみてください。

後編:組織的にソーシャルセリングを仕掛けるウィルゲート。そのメリットと社内の巻き込み方とは

ライター:鈴木 光平

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