【インサイドセールス特集#01】インサイドセールス立ち上げに必要なこととは?〜株式会社ベーシックferret Oneチーム〜
インサイドセールスを社内に導入し、成果を出されている企業にお話を伺うインタビューシリーズ。第一回目は「ferret One」「formrun」などのSaaSツールを運営しているベーシック様に、インサイドセールスの体制づくりや教育方法、マーケティングとの連携について伺いました。
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▼今回お話を伺った方
持田 雄一(もちだ ゆういち) 株式会社ベーシック パートナーアライアンス推進室 室長 求人広告 / SEO / Webマーケティングに携わり営業10年程。アウトバウンド、インバウンド、インサイドセールス、フィールドセールスをまんべんなく経験。ベーシック初のSaaS事業「ferret One」においてセールス部を立ち上げ、LTV最大化のための営業方法を確立。セールス関連のイベントを多数主催/登壇。 2014年:ベーシック入社 2016年:ferret Oneセールス責任者 2020年1月より現職
元木 雄介(もとき ゆうすけ) 株式会社ベーシック SaaS事業部 インサイドセールス リーダー 2015年CMS販売会社に新卒入社し、東京新卒年間売り上げ1位獲得。 同社退職後、2017年ベーシック入社。BtoBのWEBマーケティングツール「ferret One」に携わる。2017年からインサイドセールス、フィールドセールスを経験し、セールス部10ヶ月連続達成に貢献。 2019年1月よりferret Oneインサイドセールスリーダーに。現在はマーケティング業務、インサイドセールス推進を兼務。
「ferret One」について
編集部:御社の概要とferret Oneについて教えて下さい。
持田:株式会社ベーシックではSaaSツール「ferret One」「formrun」の提供やマーケティングメディア「ferret」をはじめとする複数のメディアを運営しています。
ferret OneはBtoBの事業者向けのWebマーケティングツールです。ferret Oneを利用することで、複数のツールをまたがずにメールマーケティングやLP制作など必要な施策を実行することができます。企業がWebマーケティングを本格的に始める際に、外注コストがかかってしまったり、煩雑な作業が多くて初心者の方からすると運用時のハードルが高くなったりする実情があります。
ferret Oneを使えばパワポやワード感覚でページを追加・修正できるCMS機能をはじめ、メールマーケ・LP制作・ABテストまで1つのツールで完結することができます。
2016年からインサイドセールスを開始。導入のきっかけは?
編集部:ferret Oneではいつからインサイドセールスに取り組み始めましたか?
持田:2016年の4月ぐらいですね。サービスごとに組織が違うので、ferret Oneチームのみで始めました。
編集部:4年前からなんですね!当時はインサイドセールスという言葉は一般的でしたか?
持田:ギリギリ使われ始めていたぐらいですね。インサイドセールス、フィールドセールスと少しずつ使われ始めた時期だと思います。
編集部:インサイドセールスを本格的に導入したきっかけはありますか?
持田:営業メンバーが2名から10名ほど、一気に増えたのがきっかけです。
当初は来たリードに対して一人ひとりがアポを取り、商談まで対応するスタイルだったのですが、「商談に行っていたので問い合わせに対応できませんでした」といったケースが頻発しまして。優先順位の高いリードに対してすぐに動けず、機会損失が発生していました。
それなら「アポを取る部隊」「問い合わせ対応をする部隊」「商談をする部隊」に分けよう、と考えたのがインサイドセールスを立ち上げたきっかけです。
インサイドセールス⽴ち上げ時に大切なこと
編集部:インサイドセールス立ち上げ時に大切なことはありますか? 現場目線の話を伺いたいです。
持田:サービス単価や特性、戦略によっても変わってきますが、当時私たちがやっていたインサイドセールスは、アポ取り部隊が設定したアポをパスされて営業部隊が商談に行く流れではなく、アポから商談まで全てオンラインで対応してクロージングするというスタイルでした。
当時は時間をかけて商談に行っても、確度が低かったり、受注率も高くはなかったんですよね。そもそもアポが入りすぎて全員が直行直帰する状態だったので、教育する時間も取れずにいたんです。そこで全てオンラインでのクロージングに切り替えて、移動時間の分で浮いた時間を教育に投下しようと考えました。
インサイドセールス立ち上げ時は、絶対に訪問しないという鉄の掟を作ったりして、隣のビルですらオンライン商談をするということを徹底していました。当時はまだオンラインでのクロージングの知見やノウハウは全然溜まっていなかったのですが、中途半端に後戻りせず、やり切るぞ、という責任者の覚悟が必要かなと思います。
編集部:商談相手の事業規模が大きい場合でも商談に行かなかったんですか?
持田:一度も行かなかったです。
編集部:すべてオンラインに切り替えてから、商談率や成約率などは落ちたりしなかったんですか?
持田:特に変わらなかったですね。当時はリード自体エンタープライズ層を狙っていなくて、地方の中小企業向けだったので、どうしてもオフラインでクロージングしなければならないという案件も数件で、大きな影響はなかったですね。
編集部:もともと地方のリードに対してはオンラインでずっと商談されていたんですね。
持田:そうですね。都内は訪問、地方はオンラインで分けていましたが、全てオンライン商談にすることでどんどん知見が溜まっていきました。結果的に受注率が2%くらいのところから最大20%まで伸ばすことができました。
編集部:営業職だと訪問したい、というタイプの方も一定数いると思うのですが、反発などは起きなかったんですか?
持田:水面下ではあったかもしれませんが、チームメンバーのスキルセットを考えるとそういうことを言ってる場合じゃない、くらいの危機感でやっていたので、なかったですね。あとは営業の経験者が多くはなかったので、体制変更はしやすかったです。
インサイドセールスで使⽤しているツールと教育方法
編集部:インサイドセールスで使用しているツールについて教えていただけますか?
持田:弊社で使っているのはベルフェイス、楽天のCTI(コールシステム)、Salesforce、Pardot、ferret Oneですね。
編集部:インサイドセールスの教育について教えてください。録音した商談内容のフィードバックはどのくらいの頻度でどなたがされていましたか?
持田:立ち上げ時はアポが取れたものと商談をしたものを全てマネージャーが音声を聞いて、日毎にメンバーにフィードバックしていました。
1時間の商談が1日6回あったりするので、早送り再生したとしても音声確認に時間をとられたのですが、やってよかったです。
編集部:具体的にどのようにフィードバックされていたんですか?
持田:インサイドセールスとフィールドセールスの2チームでチェックリストを作り、音声を聞きながら評価者がチェックしていました。
お客様を笑わせられているかとか、もういいですって切られていないかといった初歩的なものから、課題を聞き出せているか、ferret Oneがお客様に合う理由をちゃんと説明出来ているか、といった高度なものまで、チェックが増えるごとにレベルが上がっていく評価の仕組みにしました。
自分のレベルが上がらないと確度の高いリードが割り振られず、成果が出しづらいため、目標達成するためにみんなレベル上げを頑張る、という状態になっていました。
元木:現在はターゲットが変わったり、サービス自体もモデルチェンジしているので当時のチェックリストはそのまま使えないのですが、今後どう作っていこうか、という話はよくしています。
「ferret One」のリードの優先順位付けについて
編集部: ferret Oneのリードの優先順位付けについて教えていただけますか。
元木:大きく5段階に分かれています。1番優先順位が高いのが問い合わせ、パンフレット、デモ、事例集です。これをホットリードと呼んでいます。
2番目以降がセミナーリード、ホワイトペーパー、過去失注リスト、スコアリングリードという順番になります。
編集部:スコアリングリードとは何ですか?
元木:ターゲットの行動スコアで分類したリストですね。設計中なのでまだテストマーケ段階です。
インサイドセールスと他部署との連携について
編集部:インサイドセールスと他部署との連携について聞かせてください。ferret Oneのインサイドセールスはどちらの所属になりますか?
元木:部署で言うとマーケティング部になります。マーケティング部の中のインサイドセールスグループという位置付けですね。
編集部:マーケティング部の管轄なんですね!連携で工夫されていることはありますか?
持田:インサイドセールスがマーケティング部に移管されたのはちょうど1年前くらいですね。その前はセールスチームの管轄でした。移管前は、マーケティングチームが問い合わせ数の目標を達成しても、成約に繋がらない、アポも取れない、みたいなことでちょっと溝がある雰囲気を感じた時期もありました。
編集部:あるあるですよね。
持田:はい。もうちょっと連携を強化したいよね、ということでインサイドセールスをマーケティングチームに移管しました。
編集部:移管後にアポ率などの数字は改善しましたか?
元木:アポ率の改善幅自体は数%ですが、インサイドセールスから密にマーケティングチームにフィードバックすることで、マーケティングの施策が磨かれていったところに1番効果を実感しました。
以前はとりあえず広告で取ったリードに架電して、反応が良かった悪かったみたいな粒度でフィードバックをしていましたが、今はどのLPから来たリードがどうだったか、という形で細かくフィードバックを行うことで、広告のPDCAを回すスピードを上げることができています。結果的に質の良いリードを獲得できるようになりました。
編集部:マーケティングチームへのフィードバックは具体的にどのように行っていますか?
元木:うちの場合はPardotとSalesforceを連携していて、リードごとにどのLPから来たかわかるので、アポ率や商談率、案件化率などのデータを見ながら毎週定期的にフィードバックをしています。
ferret Oneではリスティングだけで7つのLPを回しているのですが、件数が少ないLPに対しても定性情報を伝えるようにしています。
「ferret One」インサイドセールスチームの強み
編集部:ferret Oneのインサイドセールスチームの強みについて教えて下さい。
元木:2つあります。1つは弊社のビジネス特性上、全員がWebマーケティングの知見を持っていること。もう1つがナーチャリング集団であることです。
「ナーチャリング集団」というのは、弊社が運営するオウンドメディア『ferret』から発生するリードが7割くらいあるため、インサイドセールスでどうナーチャリングして顕在顧客化させていくかが非常に重要になります。
MAツールも利用していますが、どうしてもMAだけではカバーできない部分があるので、インサイドセールスを取り入れた人力ナーチャリングの設計はかなり精緻に作っています。
持田:他社と違う取り組みとしては、今インサイドセールスをやっているメンバーは4名いるんですけど、正社員は1名だけで、残りの3名は営業フリーランスやインターン生に業務委託で入ってもらっています。それぞれが週2-3日の稼働です。
編集部:正社員でなくてもインサイドセールスで成果が出せるのはすごいですね。なぜ社員でなくても上手くいっているのかお聞きしたいです。
元木:各々にやり切る力がある、というのは大前提ですが、大事にしているのは「チームで1つの目標を持つ」ことですね。
うちの場合インバウンドのリードが多いので、良いリード、悪いリードって波があったりするんですよね。目標を個人で設定した場合、良いリードの取り合いになってしまいますが、チームで1つの目標を持つことで個人間の溝がなくなり、協力し合うようになります。例えば「このリード良いから自分が休みのときに荷電してみて」というコミュニケーションが生まれるなど、1つの目標を共有することは非常に重要だと思っています。
編集部:フリーランス営業ひとりひとりに競わせるのではなく、チームとして目標を置くことで業務委託であっても連帯感が生まれるんですね。
元木:あと社内の成果発表会やプロダクトの発表会だったり、事業部のイベントにも出席してもらうようにしています。それによりサービスの理解が深まり、社内の人とも繋がりが生まれます。
フリーランス営業の方って「プロジェクトをやって終わり」というような業務が多く、人と人との接触みたいなものが社員ほど多くはないと思うんです。あえてコミュニケーションを増やすことで、定着して頑張ってもらえるような仕組み作り意識しています。
「ferret One」インサイドセールスチームの今後の展望
編集部:ferret Oneのインサイドセールスチームで今後やっていきたいことがあれば教えて下さい。
元木:2つあります。1つが「全員がフィールドセールスをできるようになる」ことですね。
編集部:インサイドセールスであっても、フィールドセールスをやるんですか?
元木:そうです。フィールドセールスが行うクロージングから逆算してアポが取れるような思考力をつけることが重要だと考えています。
もう1つが「リードのスコアリングの強化」です。主に企業スコアと行動スコアを元にしたスコアリングに注力していきたいと思っています。
スコアリングは分かりづらくて意味がない、と言われるケースもありますが、行動スコアの部分が重要で、メールの開封率・サイト回遊率といったデータと企業スコアを掛け合わせることがスコアリングの本質だと思っています。そこを深堀りして研究していくことを今後やっていきたいですね。
編集部:今後のご発展を楽しみにしております。本日はありがとうございました!
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BtoBマーケティングに必要な機能がこれ1つで!ferret One(フェレットワン)
SALES BRAIN編集部より 2016年からインサイドセールスに取り組まれている株式会社ベーシックのferret Oneチーム。立ち上げの経緯から現在の取り組みまで詳細にご紹介いただきました。インサイドセールスで成果を上げるには、教育や体制づくりはもちろん、チーム内の連携や多部署との情報共有が重要だと感じます。本特集では、インサイドセールスに本格的に取り組まれている企業様を順次ご紹介していきます。次回もお楽しみに!
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