ウェビナー経由の問い合わせを2倍に増やした仕組みとは?成果に繋がるオンラインセミナー開催手法とナーチャリングの極意
テレワークの普及に伴い、新規リード獲得施策としてウェビナー(オンラインセミナー)を実施する企業が増加しました。しかし、計画通りにリードが集まらなかったり、その後のナーチャリング体制が整っておらず、頓挫してしまったりする企業も多く見られます。
今回はウェビナーから多くのリードを獲得し、ナーチャリングによって多数の受注を創出している株式会社RevCommのVP of Marketing 今尾さんに話を伺いました。
株式会社RevComm VP of Marketing 今尾和真 2011年楽天株式会社に新卒として入社し、Webタイアップ広告の企画営業、Webメディア、雑誌メディアの同時立上げなどメディアマーケティングに従事。また、ライドシェアの新規事業開発にも携わるなど、20代から管理職として活躍。2018年RPAホールディングスに参画し、RPAロボットのマーケットプレイス立上げやベーシックインカムの是非を問うメディアを立ち上げるなど幅広い分野で活躍。2019年6月より株式会社RevCommに参画し、VP of Marketingとして、B2Bマーケティングに従事。2018年に自身の会社を立ち上げ、兼業で続けている。
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RevCommについて
ーーまずはじめに、株式会社RevCommについて教えてください
今尾:株式会社RevCommは「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る」を理念に、第一弾プロダクトとして「電話営業や顧客対応を可視化するIP電話MiiTel」を開発・提供しています。
MiiTelは、全文自動文字起こし・話速や被り回数、沈黙回数などをAIで評価するシステムにより、電話営業の勝ちパターンを定量化し、電話営業の成果を飛躍的に向上させることができます。
顧客管理システムとの連携により、顧客名をクリックするだけで簡単に発信できるほか、着信時に顧客情報を自動表示し、生産性向上に役立てます。トーク内容を抜粋・共有することで教育工数の大幅削減や円滑な社内コミュニケーションができ、多業界で幅広くご活用いただいております。
URL:https://miitel.revcomm.co.jp/
オフラインでのリード獲得施策からより獲得効率が良いウェビナーを開始
ーーウェビナーを始めた経緯について教えていただけますか。
今尾:ウェビナーを始めたのは、オフライン施策よりも効率的かつ、リードの質を改善したいと考えたからです。コロナ前のことですが、ウェビナー施策を始める前はオフラインのカンファレンスなどに出展していました。
しかし、まだサービス認知率が低い2019年ごろのフェーズでは、すぐその場で商談化することは難しく、また会期後にコンタクト・ナーチャリングしてもアポ獲得率、商談化率は低いままでした。
社員数も全体で15名程、マーケティングは1名と、限られたリソースの中で運用していたので、改善する必要がありました。加えて出展するには費用もかかり、費用対効果が悪くなっていったのです。そのような課題を克服するために、ウェビナーでのマーケティングに力を入れ始めました。
ーーウェビナーを始めてすぐにいい結果は出たのでしょうか。
今尾:はい。ウェビナーで獲得したリードはそれまでのリードに比べて質が高く、受注率が上がりました。また、オフラインと違い細かいデータも取れるので、PDCAを回しやすくなりましたね。
最初は自社で開催していたウェビナーも、2020年4月の緊急事態宣言以降は他社と共催セミナーを実施するようになりました。
ーーウェビナーを共催するメリットは何でしょうか。
今尾:互いに共催先が持っているハウスリストから新規獲得が狙えたり、自社のサービスや企画内容、コンテンツへ興味を持ってもらうきっかけが作れる点です。
また、集客についても共催することで負担が楽になります。Facebook広告やメルマガでウェビナーの集客をしているのですが、共催相手にも同じように集客してもらえば、一社で行うよりも効率よく集客ができます。
ーーどのような内容でウェビナーを開催していますか?
今尾:フェーズや獲得したいターゲットによってコンテンツは変わるのですが、基本的には「インサイドセールス」のノウハウをメインとした内容です。私達のサービスの紹介を主体にするのではなく、インサイドセールスのノウハウを伝えた後に、役に立つツールとして私達のサービスを紹介しています。
インサイドセールスは弊社がサービス展開している領域で、専門分野になります。我々がこれまでに学んできた経験、tips、成功/失敗事例などをお伝えしておりますので、十分に満足してもらえる内容となっていると思います。
また、弊社社員が登壇する以外にもインサイドセールスの有識者の方々にも登壇していただき、インサイドセールスの概念や立ち上げなど様々な企画でお客様と接点を持っています。そういったウェビナーを月に2~3回は開催していますね。
ウェビナーリードの質は低い?コールドリードに対するナーチャリング手法
ーーウェビナーリードは情報収拾目的の顧客の割合が多いと思います。参加者の方にはどのようにアプローチされているのでしょうか。
今尾:ウェビナー中はタイムリーに資料請求してもらうために、ウェビナーのチャットで資料請求フォームのリンクを送るようにしています。セミナー視聴中の温度感が高い状態で、インタラクティブなアクションをすることで、その場で資料請求をしてもらえる率が大幅に上がります。
また、ウェビナー終了後はアンケートを書いてもらいます。興味関心度が分かるので、リードの状態によって、SDRとBDRがコンタクトするものを分類し、アプローチしております。
ウェビナーに申込して、参加できなかった方に対しては申込の御礼メールを送ります。メールでの接点を作ってからBDRがアプローチするようにしています。
ーー興味関心の低い方へのナーチャリングもされているのでしょうか。
今尾:はい。広告経由で獲得したリードは、能動的に検索して資料請求したリードと比較すると興味関心が低いため、長期的にナーチャリングできるように設計しています。例えば、興味関心が低い層に絞ってコンテンツを変更したり、キャンペーンを企画するなど、配信対象に合わせた内容を配信しています。
他にも、リードの状態によってシナリオを組んだメルマガなども配信しています。「一定のスコアに達したら次のシナリオ」というように、メール開封やコンテンツクリックなど、アクションに応じてスコアリングを設計しています。加えてリードの所有者(SDRorBDR)に自動通知が飛ぶように設定し、タイムリーにコンタクトが取れるようにしています。最終的には資料請求をしてもらう流れです。
ーーメルマガの内容についても教えて下さい。
今尾:基本的にはノウハウを提供しています。時流に合った内容にしていて、緊急事態宣言が出てリモートワークが増えた時は、リモートに特化したコンテンツを4回に渡って配信しました。より、満足度を高める工夫として、リードによって内容も変えています。
SDR、BDRチームとも連携し、業種業界別にもアプローチは変えています。そのようにしてからは、約10%以上反応がよくなったのではないでしょうか。その証拠として、メルマガの解除率は改善しています。
営業との連携がマーケティング施策成功の鍵
ーーマーケティングの組織構成について教えてください。
今尾:マーケティングは私を含めて2名の社員のほか、業務委託の方が3名、インターン生が2名という組織構成になっています。セミナーの企画は私がやっていますが、準備などについてはインターン生にお願いしています。メルマガの配信内容、設定、ABテストなどは業務委託の方とインターン生と連携し運用しています。
ーー営業とも密にコミュニケーションをとっているのでしょうか。
今尾:そうですね、営業とは週に1回はミーティングをして、今後の施策の方向性などについて話しています。ウェビナーをうまく運用していくには、営業との連携は必須です。以前は私達もうまく連携できず結果を出せませんでした。
密にコミュニケーションをとって営業の状況も踏まえながら、マーケティングの施策を理解してもらう他、仕組みを作ることで連携を強化してきました。
ーーどのような仕組みを作ってきたのか教えて下さい。
今尾:例えばSDRチームとの連携では、ライフサイクルステージとスコアリング定義を設定し、その定義をもとにホットリードになった場合、自動でコンタクト所有者に通知が届くようにしています。この仕組みにより、SDRはホットリードの状態でコンタクトがとれます。
BDRチームとの連携については、メルマガ配信後にエンゲージメントの高いリードには、BDRが直接コンタクトを取れるようにしています。この仕組みにより、コンタクト率と生産性が向上しました。
大事なのはリードの「質」。ユーザー視点で考えることがリード獲得の近道
ーーウェビナーに本格的に取り組んでからの成果について教えて下さい。
今尾:無料ウェビナー経由での問い合わせは前年比の約2倍に増えました。開催数も増やしましたし、広告での集客を開始したことも要因として大きいと思います。
ウェビナーだけでなく、オンラインのカンファレンスもおすすめです。リードの質に関しては、リスティング広告といったオンライン施策に劣りますが、数だけを見ればカンファレンスの方が多いです。
ーーオンラインカンファレンスのKPIは何にされていますか?
今尾:私達はオンラインカンファレンスで獲得した総リード数はKPIにせず、ブースで資料請求したリード、またアンケートで弊社サービスに興味関心があると回答したリード数をKPIとしています。
潜在顧客にもアプローチしていかなければ、いずれ限界を迎えると考えています。ただリード数を増やすためだけにに参加するのはおすすめしませんが、業界や職種、取りに行きたいターゲットなど親和性のあるカンファレンスに絞って参加してみてください。弊社サービスとの親和性、過去の定量データ視点ではビズリーチさんやボクシルさんが開催しているカンファレンスはおすすめです。
ーー最後にこれからウェビナーに取り組む企業にアドバイスがあればお願いします。
今尾:ウェビナーは必ずやらなければいけないものではありません。リード獲得のためのリソースやコストもかかりますし、必ずしもいいことばかりではないからです。ウェビナー以外にもリード獲得の方法は他にもあります。現状のフェーズや今後の戦略を考えた上で、最適な施策に落とし込んでいただければと思います。
もしウェビナーに取り組むのであれば、リードの質にはこだわってください。よく見る失敗は、リードの総数をKPIにした結果、質が下がってしまうことです。ユーザー視点で考えて、本当に役立つ施策を考えることが重要だと感じます。
それでも成果が出ない場合は、リードを獲得してからのフローを可視化するのがおすすめです。頭の中で思い描くだけでなく、実際フローと体制をアウトプットすることでどこに課題があり、次に何をすべきかがわかると思います。
ライター:鈴木光平
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