The Modelで昨年同期比300%売上成長を牽引するマーケ&セールスの組織作りとは
SaaS、サブスクリプションモデルの台頭に伴い、マーケティングや営業の分野で注目を集めている『The Model(ザ・モデル)』。集客からカスタマーサクセスに至るまでの各段階で情報を可視化し、部門を越えた連携を軸に売上の増大を図っていくという概念です。
The Modelを社内で実現するため、The Modelの生みの親でSalesforceのツールを導入した企業も少なくないでしょう。しかし、ツールを入れただけではThe Modelを実現できるわけではありません。
今回はThe Modelを取り入れたことで、昨年同期比300%売上成長を実現したノバセルのお二人に、成功の秘訣をインタビュー。「最初はツールを入れても成果が出なかった」とのことでしたが、どのように組織づくりを行ない売り上げを拡大させたのでしょうか?その秘訣に迫ります。
プロフィール
ラクスル株式会社 ノバセル事業本部グロースパートナー事業部ビジネスプランニングG部長 立花一雲氏 2005年、新卒で株式会社ロボットへ入社後、外資系広告代理店であるJWT Japan入社。JWT時のメンバーが立ち上げた株式会社イミロアへ参画後、イミロアホノルルインターナショナルのCEOを4年経て、2019年12月より現職。
ラクスル株式会社 ノバセル事業本部マーケティング部 中野竜太郎氏 2017年、楽天株式会社に入社後ECコンサルタントとして200社以上を担当。その後、個人事業主でメディア運営、占い師、広告運用、マーケティング支援を行う。2019年に電子契約サービスのマーケティング部門立ち上げ、イベント登壇を経て、2021年1月よりラクスルに参画。ノバセル事業のマーケティング施策全般を担当している。
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事業拡大にともないSalesforceを導入するも、まったく機能せず
ーまずはノバセルの事業について教えて下さい。
立花:ノバセルはラクスル株式会社が提供する、運用型テレビCMサービスです。当社のCMOであり、ノバセルの事業本部長である田部正樹がラクスルを成長させてきたノウハウを提供したことが事業の始まりです。
田部率いるマーケティングチームはラクスルの成長に大きく貢献し、6年で売上高を35倍にしました。それを誘引したのがテレビCMです。田部は、ラクスルのCMノウハウを他社の事業会社にも適用できると考え、ノバセルとしてサービス化したのです。
ー現在の組織体制について教えてください
立花:私がビジネスプランニング部、つまりは営業の責任者をしておりまして、中野がマーケティングの責任者です。ノバセルはマーケティング部があるのが大きな特徴で、通常CMを制作する代理店は自社のマーケティングをあまり行いません。
私たちは良くも悪くもスタートアップなので、自分たちの存在を知ってもらうためにマーケティングが必要不可欠です。タクシー広告やセミナーなど、様々なマーケティング施策を積極的に行っているのは競合他社とは差別化した取り組みですね。
ーSalesforceを導入した経緯を教えて下さい
立花:社内管理を強化するためです。それまではスプレッドシートを使い、手入力で様々な管理をしていたのですが、会社が急速な成長をするにつれて限界を感じていました。ツールを入れて安全かつ効率的に管理しようと議題が上がったのです。
また、社内で営業などが属人化していたたため、ツールを使って可視化するのも目的の一つでした。
ーSalesforceを導入した成果はいかがでしたか
立花:まったく機能しませんでした。システムは無事導入できたものの、「なんのために導入するのか」という目的が抜けてていたため、思うような成果に繋がらなかったのです。
「ツールを導入することでこんなことを実現したい」というビジョンや、「このツールを入れることでこんなに効率化できる」というメリットを、メンバー達に落とし込んでおくべきでしたね。
ツールを機能させるのに必要なのはオーナーとリーダーの二人
ーSalesforceで成果を出せるようになったきっかけを教えて下さい
立花:中野がプロジェクトに参画してくれたのが大きいですね。もともとSalesforceを導入してThe Modelを実現するプロジェクトは営業主導ではじまりました。しかし、The Modelを実現するには営業とマーケティングが一緒に活動しなければなりません。
ちょうどマーケティングも巻き込もうと思った時に、中野が入社したので一緒にプロジェクトに参画してもらったのです。
中野:気づいたらプロジェクトに入っていました(笑)
私は前職でもThe Modelの立ち上げ経験があったため、勝手に「マーケティング部ではこのようにThe Modelを進めています」と成果物をもって改革を進めていきました。そうして気づいたら、全社のプロジェクトに入っていたのです。
ー具体的にどのような取り組みをしていったのでしょうか
中野:立花に「何を実現したいのか」をヒアリングしながら、現状とのギャップを一つずつ埋めていきました。重要なのは、Salesforceを過信しすぎないこと。なんでもかんでもSalesforceで分析しようと思ってもうまくいきません。
例えば「この細かい分析はスプレッドシートの方がいいよね」と、課題に対してツールも使い分けていきます。立花さんは実現したいことが明確だったので、プロジェクトも進めやすかったですね。
立花:その経験を通して、The Modelを実現するには2人の存在が必要だと思いました。一人は「実現したいこと」の解像度が高いプロジェクトオーナー、もう一人はそれを解像度高く実現できるリーダーです。
The Modelを実現するのは簡単ではありませんし、時には社内から反対の意見をもらうこともあるでしょう。そんな時に一人では「こんなに難しいなら、今のままでもいいか」と心が折れてしまいます。2人いることで、最後までプロジェクトを進行できるのではないでしょうか。
300%成長の裏にあった、営業とマーケティングの信頼関係
ー2021年の3Qは昨年同Qから300%成長しましたが、何をされたのでしょうか?
立花:まず、昨年の期がはじまる8月ごろに、売上を因数分解して自分たちの戦略を見直しました。その結果「より単価の高い案件を獲得していこう」と方向性を決めたのが、結果的に大躍進に繋がったのだと思います。
中野:その背景には私と立花、つまり営業とマーケティングがより密接に連携してきたことがあると思います。方向性を決める際にも私と立花で話し合いましたし、Slackでも毎日数字の進捗などを確認しながら現状を把握しあっています。
連携のとれていない会社ですと、営業が「リードが足りてないぞ」「今日のアポは全然ダメだった」とマーケティングを責めるケースもあると聞きます。私たちの場合は明確にターゲット企業を決めて共有していますし、もしアポがダメだった場合は「なぜダメだったのか」を確認して次に活かします。
ー営業とマーケの連携を強化されたのですね
立花:営業活動をしていれば思い通りにいかないこともありますが、それを他責にしても仕方ありません。営業もマーケティングも、同じく会社の売上のために頑張っているのだから、責任を押し付け合うのは意味がありませんよね。
一緒に目標達成に向かう仲間として、仮に間違いがあったとしても、そこから学んでいければといいと思っています。
ー単価を上げるために、ターゲット企業はどのように設定したのか教えて下さい
中野:私たちが提供するサービスに見合う予算がとれるか、という観点でセグメントしていきました。CMを放映するには、大きな予算がかかります。エリアによって必要な金額も変わり、私たちが見込んでいるエリアでCMを放映できるか、それだけの予算がとれるのか独自の指標で分析していきました。
それは単純に現在の会社の規模だけでなく、大きな投資をするには事業を成長させる意思も必要なので、成長できるビジネスモデルかも重要です。私たちはメールでリード獲得をしており、メールを送る相手が本当にターゲット企業の条件を満たしているか日々議論していますね。
ーターゲットに該当しない企業にはどのように接していますか?
中野:私たちのポリシーとして「効果のでないCMは打つべきではない」という考えがあります。効果の出ないCMを打たせるよりも、事業を伸ばすための適切なタイミングで改めてご相談いただけるようお伝えしますね。
苦しくてもファクトから逃げない。その姿勢が成果を作り出す
ー戦略があっても結果を出すのは一筋縄ではいかないと思います。なぜできたと思いますか?
中野:ファクトから逃げなかったからです。私たちの会社には「ファクトに向き合ってフィードバックする」というカルチャーがあります。時には心が痛むようなフィードバックもありますが、そこに目をそむけていては事業の成長はありません。
特にマーケティングは数字をいじれば、いくらでもファクトから目を背けられるもの。CMも一緒で、結果が出なくても目を背ける方法はいくらでもあります。効果を可視化し、PDCAを回すことができるCMを提供するノバセルだからこそ、しっかりファクトに向き合い真摯にサービスを提供しなければなりません。
ダメな時はダメなりに、次に何をするかしっかりネクストアクションを決める。それをどのミーティングでも行います。そのネクストアクションを解像度高く「いつまでに、誰が、何をするか」と決めて実行してきたからこそ結果もついてきたのだと思います。
ーセールス側はいかがですか?
立花:セールスも同じですね。個人で売上を追うのは難しいので、どこに課題があるのか、指摘しあえる関係性がチームには重要です。フィードバックをする方もされる方も、同じマインドを持って仕事をできていることが結果に繋がったのではないでしょうか。
ーファクトに向き合ってしっかりフィードバックする文化が、案件の大型化に繋がったのですね。
中野:加えてこれまでの実績も味方してくれたのだと思います。これまでは「ノバセルって何やってるの」と思っていた会社も、私たち自身がテレビCMを活用して大きく成長した実績を見たことで信頼し、大企業の方たちからの引き合いも増えました。しっかり成果を出せば、いいお客さんもついてくるということですね。
逆にいえば、私たちの運用型テレビCMのサービスは数字が可視化される分、結果が出なければリピートされないということです。だからこそ、私たちもお客様の成果にコミットしなければいけません。立花が、私たちのことを「代理店」ではなく「アジャイルエージェンシー」と呼ぶのは、まさにお客様の伴走者であることを表現しています。
ー「アジャイルエージェンシー」と表現されるのですね
立花:開発の世界ではスピーディにテストと開発を繰り返しすことを「アジャイル開発」といいますよね。私たちも、お客様と対話を重ねながらCMをスピーディに検証し、成果に繋げるアジャイルエージェンシーを目指しているのです。
単にお客さまに言われたものを作るのではなく、お客さまのグロースを一緒に考えられるパートナーになるため、セールス、マーケティング一丸になって提案しています。
中野:実際に、私もセールスに同席して提案することもあります。会社によってはマーケターは社内にこもって、セールスを手伝わないことも少なくありません。しかし、サービスの効果を最大化するには、マーケティングの知見は重要です。
そういった意味でも、お客様のグロースパートナーになるために、The Modelを体現できていると思いますね。
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